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楽団モットー「DUM SPIRO SPERO」について


 

 YMWEという吹奏楽団を作るにあたって、何かしらモットーのようなものが欲しいと思っていました。せっかく自分で楽団を作るのだから、それをうまく表現するのに何かちょうど良い短い言葉はないか、と考えた時、ほとんど反射的にこのラテン語の格言が頭の中に浮かんできました。

 どこで出会ったのか覚えていないこの格言を思い出したということは、少なくともここ5年くらいで私が捻り出して来たさまざまなアイデア(多くはガラクタです)の中では、ピカイチの出来で、自分を褒めてやりたいです。なぜなら、この格言ほど、吹奏楽団にぴったりなものはないからです。世界中に、この格言を掲げている吹奏楽団がないか調べていないのですが、もしなかったら、YMWEが世界初ということにしておきたいです。もしあったら、コッソリ教えてそのあとは黙っていてください。

 というわけで、この格言について説明して行こうと思います。長くなるので、面倒な人は最後まで飛ばしてください。

DUM SPIRO, SPERO.

 ドゥム・スピーロー・スペーローと読みます。(cf:山下太郎のラテン語入門)最初に現れるDUMは、接続詞です。手元の羅和辞典(研究社羅和辞典、以下同)によると、この言葉の意味は

1.~する間に

2.~する限り

 とあります。

 2番目の単語のSPIROに関してはやや説明が必要です。これは動詞なのですが、ラテン語では主語が省略され、動詞の形であらわされます。このSPIROは一人称単数の主語で、現在時制であることを表しています。この語には、

1.息を吐く

2.吹く

4.呼吸する

 などの意味があります。

 カンマで区切られていることから、この2語が従属節で、副詞節として機能していることがわかります。したがって、カンマのあとのSPEROが主節です。このSPEROも第一群規則動詞(ラテン語でもそういう言い方なのかは自信がないのですが)なので、一人称単数現在です。この言葉には、

1.望む、予期する、期待する

 という意味があります。

 さて、これを少しずつ日本語に近づけていきましょう。まずは馴染み深い英語で表現してみます。

While I breathe, I hope.

 こんな感じになります。注目したいのは、もともとのラテン語では保たれていたSPIROとSPEROの似ている音が、英語だとあんまり伝わらないということですね。では、暇なので若山お得意のフランス語で表現してみましょう。

Tant que je respire, j’espère.

 となります。

 こうやって比較してみるとよくわかるのですが、やはりフランス語はラテン語に非常に近い言語ですね。respireとespoirという動詞の音は、ラテン語のSPIROとSPEROの音の近さ、そこから生み出される面白さを辛うじて保っているように思えます。

 この格言が格言たる理由は、実はそこにあると思います。「呼吸をする」という語と、「希望する」という語の音の近さがあってこその格言といえるでしょう。

 さていよいよ日本語に翻訳していきます。読み飛ばした人は、このへんから読んでください。DUM SPIRO,SPEROを日本語に翻訳すると、

息をする限り、私は希望を抱く。

 となります。 

 吹奏楽団は、管楽器と打楽器で構成されます。管楽器が息を使うのはもちろんですが、打楽器も「息」を合わせます。それはオーケストラもそうです。オーケストラになると、ボウイングの要素が入って来ますが、基本は「息」を合わせるのです。音楽家にとって、「息をする」とはまさに、「奏でる」に他なりません。そう、私は、楽器を演奏する限り、希望を抱いている。楽器を吹く限り、希望が消えることはない。そんな高らかな宣言のように聞こえるのです。つまりこれは、

楽器を吹く限り、私は希望を抱く。

 とも読めるわけです。

 折しもコロナ禍で、他人の咳や自分の呼吸、息をすることに敏感な今日このごろですが、大昔の人は、息をすることと、希望をどこかで結びつけていたようです。息をする限り、希望を抱く。本当に吹奏楽団にぴったりなモットーだと思いませんか? というわけで、次回練習は11月22日(日)です。ご参加お待ちしております。


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